Kent's eye
春になると、なぜか無性に「色」が恋しくなる。
不思議なことだと思う。別に誰かに強制されているわけでもないのに、気温が上がるにつれ、自然と明るい色のものに手が伸びる。動物でもないのに、季節の変化をちゃんと体が知っている。
人間って、われながらよくできているなと思う。
ある研究によれば、春の光の中では人間の目はより繊細な色の違いを感じ取れるようになるのだそうだ。
同じ石でも、冬とは違う顔を見せてくれる。光が変われば、色も変わる。
天然石は、自ら発光するのではなく、その季節の光を受け止め、自分だけの言葉で語り返す。
だから春という季節に、石はいちばん饒舌になる。じっと見ていると、石のほうから話しかけてくるような気さえする。
首元に色が揺れていると、なんだかそれだけで今日がいい日な気がしてくる。根拠はないけれど、それでいい。むしろそれがいい。
これからの暑くて眩しい季節、首元に色石がひとつあるだけで、なんだか毎日が少し得した気分になる。
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