「エッジを出す」
この言葉は、よくアトリエで飛び交うワードで、製作過程の最後の仕上げで大切なことにしている事の一つだ。エッジを出すとは、言葉の通りで、ジュエリーの端(はじ)や際(きわ)に、「糸のこ」や「やすり」を利用し、きちんと角付けを行いながら仕上げきることを言う。
単純に鋭利にすれば良いということではない。商品全体のバランスとニュアンスが非常に求められる。そして、その割に作業は細かい。「魂は細部に宿る」ということは間違いないが、実はこのエッジを出すか出さないかが、「KAORUらしさ」を隔てる大きなポイントなのだ。
一般的にブランドの特徴は、デザイン性や素材と思われがちだが、ジュエリーの場合は、エッジの付け方やこだわりも「ブランド」を織りなす大きな要素なのだ。
なので、KAORUに入って日の浅い製作者は、何度も何度も直される。徹底的に身体に仕込まれる。地金(素材)は当然ながら自然物なので、同じ型、同じ温度、同じ過程で鋳造したものでも、その日の環境によって別物があがってくる。それを「商品(作品)」に仕上げていくためには、「エッジを出す」ことが大切なのだ。KAORUのアイテムに限らず、ジュエリーをご覧になる際は、ぜひエッジに注目して見てもらうと、デザイナーや製作者たちのこだわりや真髄を垣間見ることができる。
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